AIでゲームデバッグを自動化!?モリカトロン桑野さんに聞いてみた


広報の藤沢海です。

2019年10月に日本初となるスマホゲームのエラー監視サービス「Appmill(アプミル) for GAME」をリリースいたします!!

このAppmill for GAME、実はモリカトロン株式会社様が開発したテスト自動化ソフトウェア「モリカテスター」を使うことで監視の自動化が実現しているのです。

そこで今回は、「モリカテスターって一体何!?」という疑問を解決するべく、AIの開発や研究も行っているモノビット・モリカトロンホールディングス株式会社 セールスマネージャーの桑野さんにお話を聞かせていただきました!

1.モリカトロンってどんな会社?

↑CECED2019の会場にお邪魔してインタビューさせていただきました

藤沢 今日は、モリカトロンさんのやっているAI事業やゲームデバッグサービスのことについて桑野さんにお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いいたします!

桑野さん よろしくお願いします~!

藤沢 まずは、モリカトロンさんがどんなことをされている会社なのかをざっくりと教えてください。

桑野さん モリカトロンはちょうど今、2周年なんです。お菓子にも2周年って書いてあるんだけどね(笑)

藤沢 ほんとだ!ねこちゃん可愛いです!!(絵は森川さん作)

桑野さん 最初は、ゲームAIの開発とかコンサルをやる専門の会社として立ち上がりました。

AIの部分は受託開発とかコンサルをしたりしつつ、みんなに使ってもらえるようにするための研究開発っていうのもやってます。

藤沢 なるほど~、最初はAIの事業から始められたんですね。

桑野さん でも、ゲームの中のAIってその中のゲームにしか使えないので、業界の人たちも役に立ってもうちょっと汎用的に使える分野は何だろうって考えたときに、デバッグにフォーカスしました。

藤沢 へぇ~!ゲーム業界にメリットがあるサービスをやろうと。

桑野さん はい。AIについてだと、スクウェア・エニックスの三宅さんが「外のAI、中のAI」っていう風に定義をしているんです。「中のAI」の研究は自社のオリジナルのものだから共有できないんだけど、「外のAI」は開発補助だったりとかデバッグなので、「みんなで情報を共有しながら研究をしてより高めていきましょう」みたいなことを、ちょうど去年8月のCEDECぐらいに三宅さんとお話しました。

藤沢 AIに中と外があるなんて知らなかったです!それで外のAIの研究を進めて行くことになったんですね。

桑野さん それよりも前にデバッグサービス立ち上げの準備はしてましたが、、年末にデバッグクルームができてスタートしました。

なんでそうなったかっていうと、「AIがデバッグを自動化します」とか言ってもデバッグのことわかってないとどう組み込んだらいいのかわかんないし、やっぱ中途半端になっちゃうので「やるなら本気でやりましょう」と、ちゃんと事業としてやることになりました。

桑野さん とはいえ、まずはデバッグをちゃんとできないといけないので、人力のデバッグの品質を上げて同時に自動化もやっていくということをやり始めています。

2.モリカトロンが誕生した理由

藤沢 2019年8月で2周年ということですが、モリカトロンさんが設立した経緯は何だったのでしょうか?

桑野さん 取締役の成沢さんが前の会社でプロデュースしたゲームの、イラストとかデザインをやっていたのがAI部門の森川さんだったんです。2人が「AIのゲーム会社作ろうぜ!」ってなって、誰が経営で入るの?ってなった時に、代表の本城さんが入ったのが設立の経緯です。

その時の僕はほかの会社にいて、いきなりAIの会社できたっていうニュースを見たとき「なにやるんだろうなぁ?」みたいに思っていました。

藤沢 そうだったんですね。桑野さんが入社された経緯はどんな流れだったんですか?

桑野さん 本城さんから「来てくださいよ」っていうのはよく言われてたんだけど、前職をやめたときに、そういえば本城さんがモリカトロンの話してたなぁと思って直接電話しました。入ることでスピードはアップしたので、デバッグ事業をやるっていう意味では良かったかなと思います。

藤沢 なるほど~!デバッグのサービスはどのようなものがあるんですか?

桑野さん 全体的に言うと、リリース前のデバッグで端末検証とかチューニングサービスとか他のデバッグ会社ができることは基本出来たうえで、今新しく取り組んでいるのが「自動化ツール」の開発だったり、京都にできた「エキスパートデバッギングラボ」でデバッグのエキスパートが専属でやったりしています。

藤沢 エキスパート!なんかすごそうです。

桑野さん 最近はローカライズサービスも始めたり、色々幅広くやってます。今はデバッグのほうに重点をおいてやってるので、急拡大はせずに着実にやっていくフェーズですね。

3.AIとデバッグ

桑野さん ツールに関してはモリカテスターという自動化ツールを作っているんですけど、あくまでも社内で使う用で、そういったツールもいくつか用意して色んな研究開発をしています。

藤沢 モリカテスターはAppmill for GAMEでもを使わせていただいていますが、まだサービスとして世に出してはいないんですか?

桑野さん まだないです。自社のデバッグとして受けた案件の中で使って、効率化していきますよっていうアイテムなんですけど、やっと実績が出てきたので今回のCEDEC2019で代表の本城さんが発表しました。

藤沢 そうなんですね!デバックの部分は本城さんで、AIの部分は森川さんが担当しているのでしょうか?

桑野さん 一応会社的には、AI部門デバッグ部門で分かれていて、森川さんはAI部門で研究をしていく、デバッグ部門はゼロから立ち上げていて基本別です。

藤沢 分かれているんですね。AI部門のほうはどうやって案件を進めていくんですか?

桑野さん AIのほうは受託だけじゃなくて研究開発もしています。AIってできるかわからない分野もあるから、一緒にやっていきましょうみたいな会社さんじゃないと中々付き合いがなくって。

桑野さん 例えばAIを使って何かやらなきゃいけないんだけど、リソースが足りないとか知恵が足りないっていうことがあるので、その時に僕らが同じチームの仲間となってやります。

藤沢 ほぉ~!その会社さんチームの中に入ってやっていくんですね!

桑野さん 作業場は別なんだけど、同じチームで一緒に研究していきましょうっていうスタイルでをやっていこうとしています。ラボ契約って言って、成果物があるんじゃなくて人を貸すというか、チームごと貸すという形です。研究成果とかそういったものって全部残るし、一緒に高めていきましょう的な感じ。AIチームはそっちのほうの案件をよく取るようにしています。

藤沢 そうなんですか。AI部門とデバッグ部門がやっていることは全く違うんですか?

桑野さん そうですね、AI部門はAIのラボ契約などの事業をしながら、平行してAIによる自動化ツールの開発に積極的に取り組んでいます。

4.デバッグがゲーム業界を救う

藤沢 ゲーム業界の方から「モリカトロンさんのおかげでこんな良いことがあった!」みたいな声はありましたか?

桑野さん デバッグの部分で今メインでやらせてもらっているところだと、前はほかのデバッグ会社を使ってたけど、ユーザーからのクレームとか、リリースしたのに不具合数が減らなかったりしたお客さんがいまして。

藤沢 はいはい。

桑野さん そういった課題を抱えてるお客様に対して品質分析をし、プロダクトの出来栄えを定量的に可視化して、課題とリスクを浮き彫りにします。その課題解決でテスト項目の作り直しやテスト体制の大幅変更、テストスコープを定義、QCDのバランスを考えた開発スケジュールへの提案をしたりと整備してあげたら、案の定コストも3、4割減で不具合も減るっていうことがありました。

藤沢 へぇー!

桑野さん コスト削減と品質改善を同時にやるって難しい課題なんだけど、それがちゃんとできて安定稼働ができました。モリカトロンはそういった品質のことをちゃんと考えてる会社なんです。割と開発側にもガンガン意見を言うので。「この日にこの資料がないとできません」っていうグイグイ行くスタイルでやってます。そうすると課題を抱えていえるお客様には刺さるし、そういった感じで喜ばれてはいます。

藤沢 モリカトロンさんがコンサル的な感じで入るんですね!

桑野さん はい、今までだと人数集めてやらせて終わりみたいな感じから、もうちょい深掘りしてちゃんと提案していくっていう形です。

藤沢 デバッグはどんなゲームの案件があるんですか?

桑野さん スチームPCゲームとか、任天堂スイッチとかのコンソールもやってます。今、取引先も15社くらいで、立ち上げたばっかりの会社なのにゲームのクレジットに出してもらえたりすると嬉しいです。

藤沢 それはめっちゃ嬉しいですね!!

桑野さん あと、最近「5社コンペ」っていうのがあって、5社のデバッグ会社の中で1番を決めるんだけど、うちが勝ったんです。

藤沢 そうなんですか!?すごい!!!!

桑野さん エンジニアの人が選んでくれました。うちらとしては当たり前のことをやっているんだけどね。

藤沢 ほぉ~。まず、そんなコンペがあるんですね!

桑野さん あった。そんなにあるんだってびっくりした(笑)

5.モリカテスターの歴史

藤沢 モリカテスターの開発の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

桑野さん ゲーム業界ではAIとかの前に、自動化があまり進んでいなくて。

藤沢 あ、そうなんですか!

桑野さん メーカーさんとか、ある程度しっかり体力のある会社さんはやってるんだけど。例えば、SEGAの龍が如くで「高速デバッグ」を自動でやりますとかっていうのがあったり。2、3年前に任天堂さんがゼルダの伝説で自動ツールを使ったデバッグとか。そういうのしかなくって、「デバッグ会社がやりました」っていうのはなくって。ずっとやりたがってたんですよ、僕が。

藤沢 桑野さんがやりたいと思ってたんですか!

桑野さん はい、個人的に。で、前の会社でも自動化チームがあったんだけど、「ゲームって仕様が変わるし自動化ができないよね」っていうのがフェーズとしてあって。

藤沢 う~ん、そうなんですか。

桑野さん 自動化ツールもなかなか良いものがないくてね〜。なので、もうゼロから作ろうってなった。

藤沢 なるほど、無いなら自分たちで作ろうと思ったわけですね。

桑野さん ツールはできたけど、実際にどうやって案件に落とし込んでいくかっていうところが課題で。デバッグチームが使いやすいか、本当にそれをやって効果があるのか、やってみないと分からなかったので、今受けている案件の中で実践しすでに効果が出ています。

藤沢 すでに効果が出てるんですね!それは去年、桑野さんが入社されてから1年間で進めているんですか?

桑野さん そうです。実際はまだ1年もたってないかな。自社の運用で使っている中で、原岡さん(ビヨンドの代表)には前からモリカテスターを作ってるって言ってたから、なんかできないですかね?って相談してて。

藤沢 なるほど!それでビヨンドのAppmillが案として出てきたという。

桑野さん そうそう!

6.Appmill for GAMEはゲーム業界を救える?

藤沢 ビヨンドからリリースするAppmill for GAMEは、「日本初、スマホゲームのエラー監視サービス」と謳っているのですが、これって実際本当に日本初になりますか…?

桑野さん 無いから初じゃないですか?

藤沢 そうなんですね、良かったです(笑)

桑野さん 自動化ツールってエッグプラントとかエアテストとかがあるけど、ツールとしてのはないし国産としてもないですね。ゲーム向けっていうのもないし。

藤沢 今年の東京ゲームショウにもAppmill for GAMEを出展しているのですが、ゲーム業界に詳しい桑野さんからすると、このサービスのどんなところをアピールしていけると思いますか?

桑野さん 自分でもまだどこが刺さるかは分からないんだけど、ビヨンドさんは24時間365日監視をやってるじゃないですか?そこをクライアント側も監視できるというのは良いと思います。

藤沢 24時間365日の有人監視はビヨンドならではですもんね。サービスの運用の中で、実際にモリカテスターはどのようなエラーを感知するのでしょうか?

桑野さん モリカテスターにあらかじめシナリオを書いてるじゃないですか。その遷移で起きるエラーなので、負荷がかかりすぎて止まっちゃってますとか、サーバーが落ちて止まっちゃってますとか、本来の遷移で動かないとか、文字が違ってたとか、かなぁ。

藤沢 そういうエラーが起こった時にモリカテスターがそれを発見して、Appmill for GAME側に通知をするという仕組みですね。

桑野さん そうです。何を見たいかでシナリオは変わるので、色んな方向に走らせるならシナリオも色々用意しないといけないし。シナリオはユーザーがどういう動作をするのかをあらかじめ決めてそれを自動で回すので。

桑野さん 例えば、チュートリアルのあとにバトルしてガチャ1回まわして終わる、みたいな動作だったとしたら、その通りにシナリオを進めていく。それで、あるタイミングでどっかがバージョンアップして止まっちゃったってなったら、アラートが鳴る仕組みです。

藤沢 なるほど、バージョンアップしたらシナリオも書き換えないといけないんですね。

桑野さん しなくっていい場合もあるんだけど、どこかが変わったらどこかに響いてくるから、毎回同じことでも一通り見てるんですよ。バージョンアップした直後にシナリオを走らせるっていうのをやってるので、それを24時間365日自動でやってくれるのは、テスターさんの工数もさけるんです。

藤沢 実際にテスターさんの方が目視で見ている時間というのはどれくらいなのでしょうか?

桑野さん 何もしなければ1日中かかるんじゃないですかね。3~4時間、ひと通り見るだけなら10分くらいだけど、全端末で見なきゃいけないし、ダブルチェックもしなきゃいけないし。

藤沢 おぉ、1日使うこともあるんですか。それが夜中のうちでも自動で監視できるようになるというのはかなり業務効率が上がりますね!

7.モリカトロンの未来像

↑東京ゲームショウ2019のモリカトロンさんブース(隣がビヨンドでした)

藤沢 最後に、今後のゲーム業界にモリカトロンさんはどのように関わっていきたいと考えていますか?

桑野さん 森川はモリカトロンのことを「AIのソムリエ」って言っているんですが、AIは手段でしかないんです。AIってひとくくりで言っても、ディープラーニングとか機械学習とか色んな言い方があります。そこで最初に、どういう目的があってどうやったら達成できるのか、というのがあれば、それに対して「こういう風にどうですか?」って言えるんですよ。今、うちにその技術がなくても「これ使ったらできるんじゃないですか?」とか言ってあげられるし。そういう働きかけ方はできるしこれからもやっていくと思います。

藤沢 AIのソムリエ、かっこいいです…!!

桑野さん テストの部分で言うと、日本って今、少子化じゃないですか?テスターさんの数って減ってるんですよ。

藤沢 減っているんですか…。それはゲーム業界にとって危険ですね。

桑野さん デバッグ会社さんも、いっぱい人を集めなきゃいけないのに減ってて。最低賃金は上がっていくからコストが増えるし。それが全部メーカーさんに跳ね返ってくるんです。要は、テストするものは増えていくのにテストする人は減っていくんです。

藤沢 ゲームのタイトル数はどんどん増えていきますもんね…。

桑野さん ゲームの種類もポチポチ系から、フォートナイトとか荒野行動とか、ガンガンやるやつが今の子どもは当たり前だと思ってるから、もっと次に出てくるゲームってもっと複雑になるし、やらなきゃいけないことがいっぱい出てくると思う。ゼルダですらデバッグは自動化しないと終わらなかったって言ってました。やらないと首が閉まるんです。メーカーさんは何年も前から自動化を色々やってるんですけど、デバッグ会社でやってるところはないんですよ。

藤沢 え、そうなんですか?

桑野さん なぜならば人を動かしてなんぼの商品なので、自動化して人減らしちゃったら売り上げ減るじゃん。

藤沢 確かに…!

桑野さん 自動化するっていう発想がそもそも出てこない。僕らがそこをあえていやっているのは、「とは言っても人はいなくなりますよね」みたいな(笑)

藤沢 おっしゃる通り(笑)

桑野さん そのうちやばいよって。だから今のうちに研究していくことでそういうフェーズが来たときに、自動化ツールをハイって渡せるんじゃなっかって。

藤沢 時代の流れを読んで研究を進めていらっしゃると。

桑野さん これは仮定の話なんだけど。それを目指してます。

藤沢 確実に人口は減っていきますもんね…。

桑野さん うん、確実に減る。

桑野さん なので、今後は自動化したりだとか、人が操作するものをAIを入れることで勝手に操作してくれる、というところまで持っていきたい。どれくらい時間がかかるか分からないけど。そこに至るまでのステップとして自動化したりとかツール作ったりとか。

藤沢 AIを使っていることがもう当たり前になってくるのでしょうか。

桑野さん 結果的にAIの技術使わなくてもできたじゃん、ツール使うだけで効率化できたよね、ってなるんならそれでいいんです。AIばっかりじゃなくって、最終的に人がやったほうが早いよねっていう結論が出るかもしれないので。なので京都にエキスパートデバッグチームというのを作ってるんです。人より3倍バグを出す人たちがいて、やっぱりすごい人たちがやったほうが早いじゃん。いちいち機械が書き換えるより。

藤沢 エキスパートデバッガーというのは、そういうスキルのある人たちという意味なんですね!

桑野さん すごい人たちがいるんですよ。神デバッガーと呼ばれる人たちが。

藤沢 へぇ~!

桑野さん 人の3倍も見つけるんです。こんなの良く見つけたね、みたいな。

藤沢 どういう思考回路なのでしょう…

桑野さん 能力というか勘というか…センスなのかな?人とはちょっと違う考え方。ここ攻めてあげようかなみたいな。

藤沢 おもしろいなぁ~。京都のラボにも行ってみたくなりました。

桑野さん そんな風に、人間が1番最強じゃね?ってなったらそれでいいじゃん。

藤沢 はい、同感です。

桑野さん そのデバッガーの人の知見とか経験を機械が学んでくれたらいいじゃないですか。そういった想いでモリカトロンは動いていきたいです。

藤沢 今後、AIのソムリエとしてモリカトロンさんがどんな風に活躍していくのが楽しみです。本日はたくさんお話を聞かせていただきありがとうございました!

まとめ

AIという手段をどうやって使っていくか、モリカトロンさんにとってもビヨンドにとっても、今後世の中に打ち出していけることは無限にあるのだと感じました。その一つに、今回リリースするAppmill for GAMEも含まれているのだと思うと、もっとたくさんの人の役に立ってほしい!と思います。ゲーム業界の救世主的存在であるモリカトロンさんの今後の進展に期待するとともに、24時間365日エンジニアの有人監視が可能なビヨンドにもご期待ください!!

Appmill for GAME サービスページ


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About the author

藤沢海

広報と採用を担当しているプリキュア大好き人間です。広報勉強会や採用イベントで登壇した感想を書いたり、社内のエンジニアにインタビュー記事を書いたり、とにかく書くのが好きです。