なぜ1年目Webエンジニアは毎朝もくもく会を開催するのか
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ビヨンドでは毎朝、社内のチャットグループにこんな自動通知が飛んでくることをご存知でしょうか。
社内で共有しているGoogleカレンダーにも、毎日8:30から「朝もく会」の予定が入っています。
共有されているGoogle MeetのURLにアクセスすると、システム開発部に所属する1年目Webエンジニアの「小出」が必ずいるのです。
小出はリモートワークでもオフィス出社でも、毎日必ず 8:30 ~ 9:30 でもくもく会を実施し、10:00 から業務を開始しています。
社内のメンバーも朝に強い人はこのもくもく会に不定期で参加し、各々の作業をただもくもくと進めています。
そしてもくもく会が終わりの時間に近づくと、小出は毎日ちょっとした小話をしたあとに、こう言うのです。
「今日も最高の1日にしましょう」と。
と思われたことでしょう。
今回は2020年9月に未経験からWebエンジニアになった小出に「なぜ毎朝もくもく会を開催するのか?」ということについて話を聞いてみました。
前職は美容業界のルート営業
― 今日はもくもく会について色々インタビューさせていただきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。緊張します。
― まず前職についてお聞きしたいのですが、小出さんは元々どんな仕事をしていたんですか?
僕は新卒で美容業界の営業をしていました。美容室のオーナーさんから悩み事を聞いて、「じゃあこんな製品どうですか?」とご提案させていただいたり、美容商材を売って課題解決をするというお仕事でした。ルート営業だったので、決まった店舗があって毎週訪問して聞きまわるという感じです。
例えば、オーナーさんから「カラーに力を入れていきたい」と聞いたら、「今はこういうカラーが流行ってますよ」とか「これくらいのお客さんを呼んで、こんなメニューでいきましょう」みたいに話をして、商材を売るというよりも「なりたい現実に対してメニューを考えたり、お客さんを呼ぶ方法を一緒に考えながら話をする」という仕事でした。
― そういう役割の方がいるということを初めて知りました。
そうですね。僕も美容業界ってメーカーの人だけだと思ってたんですけど、仲介の役割もあるんだということを知りました。
― 営業からのエンジニアって、結構色が違いますよね。
畑違いですね(笑)
― そこからプログラミングスクールに通い始めたんですか?
そうですね、転職活動しながら通ってました。
もっと戦えるスキル身に着けたい
― どんなタイミングて転職しようと思ったんですか?
前職でもやりがいは感じていて、営業スキルももちろん大事だと思うんですけど、「もっと戦えるスキル身に着けたいな」というか、自分が自信を持って「すごいんだぞ」と言えるようなスキルが欲しいなと。めちゃくちゃ安直ですけど、市場価値を上げたいという気持ちでした。
営業に必要な業界の知識とかコミュニケーション能力はある程度経験してきたので、違うところのスキルが欲しいなと思いました。
― 前職が営業であれば他業界の営業になろうとは思わなかったんですか?
あんまりそこは考えなかったですね。
― 他業種への転職は思い切りが必要そうですね。プログラミングスクールはどれくらい通っていたんですか?
プログラミングスクールには半年間通っていました。カリキュラムが用意されていて、それに沿って進めていくというのが中盤まであって、終盤にはチーム開発がありました。僕はぎりぎりコロナが流行る前にスクールに通っていたので、なんばのスカイオに通っていました。
ストーカーくらいビヨンドのことを調べていた
― そこからビヨンドに入社したのが2020年の9月でしたね。面接官の印象はどうでしたか?
一次面接が横浜オフィスの佐藤大輔さんだったんですけど、めっちゃ話を聞いてくれる人のイメージでした。今もそうなんですけど、面接のときからその印象がありましたね。
― 二次面接はどうでしたか?
大阪オフィスの萬代さんと野村さんで、萬代さんは面接のときちょっと怖かったです(笑)
僕、ストーカーくらい萬代さんのことを事前に調べていたんですけど、名前で調べたときに萬代さんが原稿を書いていた APIbank の記事を読んだことを言ったら、「そんなんあったんや!」みたいなことを萬代さんが言ってくれて、そのときは少しほころんでくれました。
― なるほど、名前で検索するんですね。それが心を掴んだ瞬間だったと。
どうなんでしょう、掴んだかどうかは分からないですけど(笑)
野村さんはめっちゃ良い人でしたね。野村さんにはブログで読んだ「ノムシン商店」の話をしました。
情報を調べるときはホームページをくまなく調べるようにしています。
今思い出したんですけど、藤沢さんから一次面接の連絡が来たとき、担当者が「佐藤」って書かれていたんですね。それで採用サイトに載ってるエンジニアの佐藤聖賢さんが来ると思って下調べしてたら、営業の佐藤大輔さんが出てきて。「あれ、なんか顔違うな?」と思って。
― 本当ですか。それはすみませんでした。私のミスです。
聖賢さんの座右の銘まで調べてたんですけど、これ違う人だなと思って(笑) 今となってはいい思い出です。
―これからは気を付けます。もう「大輔」って書くことにします。
「エンジニアって一生勉強する職業だけど、それをする覚悟はあるの?」
― 入社当時に印象深かったこと、記憶に残っていることって何かありますか?
ん~、やっぱり「漫画の量がエグかったなぁ」というのがあります。
― なるほど(笑)あの休憩室に置いてあったやつ。4000冊くらいあるらしいです。
やばいですね。ほぼほぼ原岡さん(代表)の私物っていうのがやばいと思います。
― 入社後に萬代さんの印象は変わりましたか?
はい、もうめちゃくちゃ良い人だなって思いました。え?全然違う!と思って(笑)
― 実際に働いてみて、開発の仕事ってこういうものなんだなと気づいたこと・知ったことって何かありましたか?
やっぱり実力ですよね。エンジニアとしての実力って、スクールだけでは足りないなとめちゃくちゃ感じてます。そこは働いてみて1番感じたところですね。
― スクールで勉強してたことも役には立つけど、という感じですか?
スクールも業務と全然違うことをやっているわけではないんですけど、カリキュラムはある程度敷かれたレールの上を走っているじゃないですか。そのレールは基礎の基礎の基礎のことをやっていたので、いきなり実務になると書いてるコードの行数も桁違いですし、理解するのが難しかったです。スクール卒業後に自分が独学で勉強してたことも業務では活かせていないんじゃないかと思うくらい。
― 実際に業務を経験してみない分からないことのほうが多い、と。
そうですね、多いです。一次面接で覚えているのが、佐藤大輔さんに「エンジニアって一生勉強する職業だけど、それをする覚悟はあるの?」って聞かれました。それは面接だからもちろん「ある」って言いました(笑)
― 「ないです」とは言えないですよね(笑)
そうそう。そう言われたことが1番痛感しましたね。勉強しないとやっていけないな、と。
― ITが好きじゃなかったら勉強も絶対できないですよね。小出さんはパソコン触るの苦ではないんですか?
苦ではないんですけど、分からないことにつまづいたりしたらめちゃくちゃイライラします(笑)
あとはアホ過ぎるから苦労していることはあります。プログラミングって作りたいものがあって、段階を踏んでいかないと辿り着かないじゃないですか。僕の場合、3段飛ばしくらいでコードを書いてしまうので、間の部分を作ることができないんです。そこの力がまだないので苦労しているところです。
― エンジニアの方と会話してたら、急に言いたいことを持ってくるんじゃなくって、段階を踏んだ話し方をされますもんね。萬代さんとかと話をしていても、欠点を突かれるというか、的確な指摘を受けるともう何も言えない。
めっちゃわかる(笑)「すみません、おっしゃる通りです」ってなりますよね。めっちゃわかります。
簡潔に書かれているコードが正義
― やっとここから本題に入るんですけど、小出さんが毎日やっている「もくもく会」について、始めたきっかけは何だったのでしょうか?
これはさっきも言っていた通り、自分の実力がへっぽこ過ぎるのでその分どこかでやらないといけないし、自分の実力を付けたいと思って始めたのがきっかけです。
― 朝は元々強かったんですか?
夜にグータラしたらグータラしただけ寝てしまうんですけど、最近は夜に起きていられなくって。夜は集中力が落ちるんです。作業してても眠気が勝っちゃうので朝方にしてみようと思って。それで早起きするのがセオリーになりました。
最初のうちは結構眠かったんですけど、だんだん慣れてきて今は完全に朝方になりました。
― もくもく会を始めたのはいつからでしたっけ?
2021年の3月からです。
― 何時くらいに寝てるんですか?
最近は23時くらいに寝るようにしてます。で、5時から5時半の間で起きてます。
― 早い。そこからもくもく会の8時半までは結構時間がありますけど、ゆっくり準備したりしてるんですか?
もうルーティンが決まっていて、朝起きてシャワー浴びてコーヒー飲んで、そのあとに1時間情報収集をしています。feedly というアプリを使っていて、自分の見たいブログをまとめて表示してくれるんです。エンジニア界隈の記事だとサービスのアップデートの情報とか、最近流行っている技術とか、エンジニア初心者の方がどんな記事を上げているのかを「へぇ~」と思いながら見ています。
朝はその feedly とWeb版の日経新聞を1時間~1時間半くらいで目を通して、そのあとは最近だとプロジェクトで JavaScript を扱うことが多いので、7:00~8:30まで JavaScript の勉強をひたすらガシガシやってますね。
― ひとりもくもく会が先に始まっているということですね。もくもく会の時間で小出さんは主にどんな作業をしているんですか?
僕はプロジェクトのソースコードを読んで、萬代さんとか野村さんが書いているコードがどういうものなのかというのをひたすら読み進めています。
―コードを書くというよりかは読み進める作業なんですか。
そうですね、どんな感じで書かれていてどういう処理が走っているのかを理解していっています。
― コードを読むという作業はプログラミングスクールではあまりないものなんですか?
チーム開発をしたときに人が書いたコードをレビューすることはあったんですけど、言ってもみんなレベル感的には同じわけじゃないですか。なので読むには読んでいたんですけど、めちゃくちゃ勉強になるコードを読めていたかというと、そうではないのかなと。レベルの高い凝った内容ではなかったのかなと思います。萬代さんとか野村さんは何十年とエンジニアをやってきた方のコードなので。
― コードの書き方は人によって違うものなのですか?
あ~、全然違うと思いますよ。経験は出ると思います。
― じゃあ「これが正解のコードです」みたいなものはないんですね。
ないですね。でも「簡潔に書かれているコードが正義」みたいなところはあると思います。あとは処理速度も大事です。データ取得の方法ひとつでいかに処理を速くするかもあると思います。
― コードによって処理速度も変わるんですね。初めて知りました。
変わります。僕もそんな深いところまでは分からないんですけど。
もくもく会の意義、そして言霊。
― もくもく会をやってて良かったと思う瞬間はありますか?
毎日心に余裕をもって1日をスタートできるのはすごく大きいなと思います。
― 確かに、もくもく会やってたら絶対遅刻しないですもんね。
いやぁ~そうなんですよ。絶対遅刻する心配はないので。
あとは、参加してくださった方とコミュニケーションを取れるのがいいなと思います。
―リモートワークだったら他部署の人とちょっとした雑談をすることもないですしね。こういう場を作ってくださっていることがありがたいです。
ほんとですか!いやぁ~嬉しいなぁ。開催してて良かったです。
最近は習慣化されてしまっていたので、毎朝チャットで社内に周知するのはもうやめてもいいのかなと思ってました。あんな毎日チャットに自動通知が来て「うっとうしい」とか「アピールしてるんか」とか思われたら嫌だなぁと思っていたので。でも最近は藤沢さんとか新卒の子も参加してくださっているので、まだ続けようかなと。
― ぜひ続けてください。あと、毎回もくもく会の終わりに言っている「今日も最高の1日にしましょう」の決め台詞はなぜ生まれたのですか?
これは僕が作った言葉ではないんですけど、YouTuberに「AKIOBLOG」という人がいて、その人が朝起きたときに「今日も最高の1日にします」って言ってから動画が始まるんですよ。僕それ聞いてめっちゃええな~と思って(笑) それで僕も使い始めました。もくもく会を始めたころからひたすら言い続けてます。
あと、言霊もあると思っていて。自分の思考を言葉にすることによって本当にそうなるんじゃないかっていうのを割と信じているので。どんどん口にしていこうと思ったのがきっかけですね。
― 口に出すことによって確かな意思になることってありますよね。
本当にあると思います。
なぜ最高の1日にしたいのか
― 最後に、この質問は意味不明だと思うんですけど、小出さんはなぜ最高の1日にしたいのですか?
なぜ…?まぁ、人生って最高のほうがいいじゃないですか。
なんか、今日めっちゃしんどかったなってい思うよりも、ちょっとしたことで喜びを感じられるようになりたいです。例えば、アイス食べて美味しかったら最高の1日になっていると思いますし。楽しい人生にしたいので、そういう小さいことでもいいから今日は良かったなって感じていきたいです。
ちなみに、「最高」って普通は最も高いって書くと思うんですけど、ヤンキーが当て字で「夜露死苦」って書くみたいに、僕も最も幸せって書いて「最幸」だと思っています。
― そっちだったんですね(笑)
そっちのほうがしっくりくるなって思います。
― これは新たな発見ですね。ちなみに小出さんは今日、最幸な出来事はありましたか?
今日は、まずこのインタビューが最幸なんじゃないですか。
― それはありがたい。今日も最幸な1日をありがとうございました。
これからも小出のもくもく会は続く
未経験からWebエンジニアになった小出は、入社後も業務をこなすだけではなく、自主的にプログラミングのスキルを磨くために日々奮闘していることが分かりました。面接で「エンジニアとして一生勉強する覚悟がある」と答えただけあります。
そしてもくもく会は社内にも良い影響を与えており、小出が毎朝オンライン上で社員が集まれる場所を作ることで、朝時間があったら気軽に参加できたり、ちょっとした雑談をしたり、リモートワークで不足しがちなコミュニケーションをとることもできるのです。
そんな小出が「へっぽこ」ではなく「最幸」のエンジニアになる日が来ることを社員一同願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。今後の小出にご期待ください。