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他人は変えられないというジレンマと向き合いながら成長のきっかけを作り続ける人材育成の在り方

皆さんこんにちは。
インフラエンジニア兼駆け出しYoutuberのねずみさん家。です。
季節が夏から秋になりようやく少しずつ涼しくなってきましたね。
エアコンを使わなくても過ごせるようになってきたのが嬉しいです。

さて、今回は他人は変えられないというジレンマと向き合いながらも成長のきっかけを作り続ける人材育成の在り方について私自身のこれまで生きてきたエピソードも紹介しながらまとめてみたいと思います。

弊社も4月にたくさんの新卒メンバーに入社いただきより一層社内が賑やかになりました。
毎年思いますが、数ある会社からビヨンドを選んでくれることは当たり前ではないので本当にありがたい限りです。

新卒メンバーからすると入社はスタートです。
右も左もわからないし、何をどうしていいのかもわからないし、自分がわからないことが何かわからない。
初めて社会人として仕事をする環境に身を置いた新鮮な気持ちもあれば、悩みや混乱もたくさんあるでしょう。

そんな中で、自分の人生の時間を使ってビヨンドという会社で働くという大きな選択と決断をした若いメンバー達が目の前にいる。そこで手を差し伸べるのが私と人事部教育課の在るべき姿だと考えています。人を育てるということは、究極的に他人の人生と向き合うことだと私は思っています。

しかし、志高く他人と向き合えば向き合うほど現実を突きつけられるときがあります。
何回も言ってるのにこの人の言動は全然改善されないとかこの人とは全く分かり合えないとか思ったことはないでしょうか?

当然と言えば当然ですが、仕事をするということは、生まれた場所も育った環境も違う人と協力しながら進めていかなければならない状況になる訳でそもそも自分と他人では同じことをやるにしても考えや価値観等の根底が違うので、協働することはできますが相手の根底を曲げるのはぶっちゃけ無理です。

ただ、人材育成をしていると、他人がまるで別人のように発する言葉も行動も変わっていく光景を目にすることができます。自分が関わった人がそうなっていくととても幸せですが、他人は変えられないのになぜそのようなことが起こるのかが結構不思議だったりします。
それを紐解いていくエピソードを私自身の内容にはなりますが紹介します。

何があっても信じることと教えることをやめなかった恩師

私には高校生の時に出会った恩師がいます。
高3になるときに別の学校に転勤なされて以来お会い出来ていませんが
恩師との出会いがなければ私は今エンジニアも人材育成も間違いなくやっていなかったと思います。
人生のキャリアを決めるきっかけをくれたのがその方だと思っています。

当時の私は、将来やりたいこともなければ特に頑張りたいこともなく、何となく学校に通わないといけないから通っていました。部活もやっていなかったし、テストの成績も最悪でした。

数学でサイン・コサイン・タンジェントを習うと思うんですが、「こんなの社会に出たら使わねえじゃん!」って割と本気で屁理屈を言っていたしテストの度に親が学校に召喚されて毎度担任の先生と三者面談するくらいにはやばかったです。(まあ成績クラス最下位だったので仕方ないですね)

そんなこんなで周りからもいろいろ言われる中で、変わらず接してくれたのが当時情報処理の科目を担当していた恩師でした。怒るときはしっかり怒る、できるようになるまで徹底的にわかりやすく教える、結果が出たら一緒に喜んでくれるとても実直な方でした。

いつしか勉強の楽しさを感じ、個別に時間を取って教えていただいたお陰でITパスポートを取得でき自信をつけることができた私はより深く学びたいという気持ちで情報系の専門学校への進学を決めたのでした。

その時に何が起こっていたのか

今振り返ると、恩師は以下の3つを提供してくれていたのだと思っています。(意識してやっていたのかはわからないですが)

概念 概要 アクション
心理的安全性 個人が報復を恐れることなく、問題について正直かつ率直に話すことができると感じられる風土 日常(承認)とスペシャルコミュニケーション(褒める・叱る)
本物の本番環境 人の成長に必要な要素。責任を負わせる・身銭を切らせる・恥をかかせる等のリスクを背負わせることで、脳に「現状を維持することが合理性に欠ける」と思わせる 期限を決めて試験に申し込ませる(試験に合格しなければならない状況を強制的に作る)
自己効力感 目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること、言い換えれば「自分ならできそう感」 個別に時間を取って教えながら、「君なら絶対合格できるぞ!」と励ます(心理学者バンデューラの自己効力感の高める4つの要素の中の言語的説得)

社内研修での活かし方

心理的安全性に関しては、研修の中であえて新卒メンバーをチーム分けした上で1日の終わりに各チームでの自発的な振り返りの促進と、正式なカリキュラムの1つとして意図的に全メンバーと人事が集まって振り返りをする時間を確保しました。

心理的安全性は最近よく使われるようになった言葉ですが、双方向で全員が率直に意見が言い合える状態が望ましいと言われています。

上司からは何でも言えるが部下からは萎縮して何も言えないとかはもちろんアウトですし部下や後輩からは何でも言えるが上司からするとパワハラを恐れて何も言えないとかもアウトです。
あくまで双方向で素直なコミュニケーションになるので、全員が自分の意見に対して、残酷なほど率直な批判がされることを受け入れる必要があるというのが本来の心理的安全性の意味合いです。

研修の振り返りでは、新卒メンバーが自身の行動や考えを共有すると共に必ずそれに対してフィードバックを直接返します。良い部分は認めるし、基準に達していない行動や考えであれば容赦なく指摘が飛び交います。少なくとも「頑張ってるから大丈夫だよ」とはなりません。そうなるのはぬるい職場です。

本物の本番環境に関しては、チームごとにサーバー構築ロールプレイング研修を実施しました。
この研修は予め架空の顧客からサーバー構築の依頼があったと仮定し、最初に要件だけ伝えた上で
構成図の作成から始まり、構築、監視設定を行った上で納品という形で社員全体の前でプレゼンしてもらうという内容になっています。

研修の過程で伝えられるのは要件だけです。その要件に対してどのようなサーバーを構築すれば良いのかは研修担当者に対して不明点を自らヒアリングしながら進めていく必要があります。
もちろん手取り足取り必要な技術を教えてもらえるわけでもないので、何もできずに発表で恥をかきたくないのであれば思考をフル回転させて何もわからない自分から、技術を習得して研修を進められる自分に変容していく必要があります。この時の自分なりの思考の型を身につける過程が人の成長にはかかせません。

自己効力感に関しては、心理学者バンデューラの自己効力感の高める4つの要素が有名かと思います。

直接的達成経験(目標を達成した経験から、「自らの力でやり遂げた」という実感を得る)
代理経験(第三者の成功体験を見たり聞いたりする)
言語的説得(自らのスキルや能力を他人から褒めてもらう)
生理的・情動的喚起(要するにメンタルのアップダウン)

この4つです。
ロールプレイング研修を通した達成経験と実感もそうですし、当番実習という形で本物のシフトに入ってもらって、実際にお客様と対話しながら実務を進めていく期間も確保しています。(もちろん実務なので上司と先輩のフォローは手厚くしています)

自己効力感は研修プログラムの根幹としている部分ではあるので、基本全てのカリキュラムにおいて4つのうちどれかは必ず満たせるように内容を事前計画しています。

まとめ

話は変わりますが、ドラゴン桜に次の一節があります。
東大特進クラスの生徒達の模試の結果がE判定続出、特進クラスを辞めると言い出す生徒も出てきている中で次の東大模試の準備をしているクラス担任の桜木先生と井野先生の会話です。

「突然だがよ、ここが海で、お前の目の前に腹をすかせた生徒達が倒れている。お前は釣竿を一本持っている。お前は魚の釣り方をよく知っている。どうする?」

「は?それは・・・魚を、釣ってあげます。」

「だからお前はダメなんだよっ!」

「どうしてですか?だって、お腹が空いてて動けないんでしょう?面倒を見てあげるのは当然じゃないですか。」

「じゃあやつらが高校を卒業したあとはどうするんだよ。いいか、お前の言い分は、一見人間愛に満ちていて、 生徒思いのように見えるが、実は心の奥底はやつらを過小評価していて、能力を認めてねぇ。一生あいつらの魚を釣ってやるつもりか?それとも、やつらが高校を卒業したら、その途端に知らん顔か?その場しのぎで魚を釣ってやるよりも、やつらが自力で食っていけるように魚の釣り方をきちんと教えてやるのが大事なんじゃねーのか?」

「いいか。いい教師ってーのはよ、例え生徒が今は出来なくても、出来る様になると信頼して、最低限のサポートをする。あとは生徒の自立に任せられる教師だろ。生徒達を甘やかさず、その代わり、少し努力すれば乗り越えることが出来る壁を用意してやる。そしてやつらが自分で考え、自分で決め、自分で行動する自立心を育てる。今度の東大模試は、そのための一つの壁だ。わかったらこいつをコピーして、生徒全員のところへ届け回ってこい」

私も自分のエピソードを振り返って学んだことは
自分で行動しなければ人は変われない、故に他人は変えられないが変わるきっかけを作ることはできる
というものでした。人材育成を通して誰かのきっかけになれるように引き続き頑張っていきます。

Youtubeもやってます(良かったら見てね)
ねずみさん家。のインフラエンジニア道場

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この記事をかいた人

About the author

寺岡佑樹

2016年ビヨンド入社、現在6年目のインフラエンジニア
MSPの中の人として障害対応時のトラブルシューティングを行いながら
AWSなどのパブリッククラウドを用いたインフラの設計/構築も行っている。
最近はDockerやKubernetesなどのコンテナ基盤の構築や
運用自動化の一環としてTerraformやPackerなどのHashicorpツールを扱うことが多く
外部の勉強会やセミナーで登壇するEvangelistの役割も担っている。

・GitHub
https://github.com/nezumisannn

・登壇経歴
https://github.com/nezumisannn/my-profile

・発表資料(SpeakerDeck)
https://speakerdeck.com/nezumisannn

・所有資格
AWS Certified Solutions Architect - Associate
Google Cloud Professional Cloud Architect