「eBASEBALL プロリーグ」2020 オリックス・バファローズの戦いを振り返って
こんにちは、K-POPに影響されて髪を紫にした広報・採用担当の藤沢です。
今回は弊社がスポンサーをさせていただいている、「eBASEBALL プロリーグ」オリックス・バファローズ様のインタビュー記事第2弾です!!
前回の記事はこちら
eBASEBALLにドラマあり。プロeスポーツプレイヤーオリックス・バファローズ高川悠選手1万字インタビュー
今シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響でポストシーズンが延期になるといったこともありましたが、無事にe日本シリーズも終わり2020シーズンの「eBASEBALL プロリーグ」は閉幕しました。
パ・リーグで2位という成績を残したオリックス・バファローズ、大健闘の2020シーズンを振り返ってみて、例年とは違った事前収録による試合配信や、今後の展望について4名の選手に語っていただきました!
オリックス・バファローズ:指宿 聖也さん、高川 悠さん、藤本 洋介さん、前田 恭兵さん
自己紹介
―ではまず、みなさまがどのような経緯でプロになられたか経歴を教えてください。
指宿さん:指宿 聖也です。2016年にパワプロの大会に参加してから本格的にゲームを始めました。毎年大会が開催される中でプロリーグが発足して、それまであまり良い成績が出せていなかったのでプロになって1番になりたいなぁと思って参加させていただきました。パワプロは昔から毎年買っていて、対戦に目を向けたのは2016年だったと思います。最初にプレイしたのはプレイステーション版ですかね。そのころにリアルの野球も始めてルールを覚えました。
藤本さん:藤本 洋介です。今は25歳です。プロプレイヤーになった経緯は、2018年から予選を受けながらゲーム解説に携わっていて、「自分も選手としてプレイしたいなぁ」と思ってから練習量を増やしました。そのあと2019シーズンは東京ヤクルトスワローズの代表選手として、2020シーズンはオリックス・バファローズの代表選手として参加させていただいたという形です。解説からプロプレイヤーになった人は結構いまして、逆に惜しくもドラフトや予選を通過できず解説に転身した元プロプレイヤーの方もいます。
前田さん:前田 恭兵です。経歴としては、小学校5年生くらいからパワプロをずっとプレイしていて、中学生のときは世界で1番自分がパワプロ上手いと思ってました(笑)当時、全国大会があったんですけど、抽選に当たらないと参加できないとか、10代だったので立地的な問題で参加できなかったりしました。2016年に開催された全国大会のトーナメントに参加して、その年は1回戦で負けましたが、翌年2017年の全国大会では優勝しました。そして2018年からはプロリーグに参加させていただいています。中学生の頃は友達とパワプロで遊ぶと自分の中では頭一つ抜けていたので、「全国大会とかあれば絶対優勝できるのに」と思いながら教室の窓の外を眺めていました(笑)そのころから思っていたことが大人になってから実現できたのは嬉しかったです。
高川さん:高川 悠です。パワプロ自体は子どものころから遊んでいて、当時兄弟とかで遊んでたりしたんですけど、そこから実際の野球を中学・高校と真剣にやっていく中でパワプロはあまりやらなくなりました。大人になってから兄がパワプロのプロプレイヤーになって、応援しつつも自分もやってみようかなと思い、オンライン対戦をしていくうちにプロになってみたいなと思ったのがきっかけですね。
―ちなみに藤本さんと前田さんはリアルの野球もやってらっしゃったんですか?
藤本さん:僕は中学までずっとサッカーをやってました。中学の時に野球観戦にハマって、高校のときは器械体操をやってたんですけど、そのときもプロ野球が好きでヤクルトの試合をずっと神宮まで観に行ってました。自分もそろそろ野球をやってみたいなと思って、大学で野球部に入りました。最初は友達が貸してくれたパワプロをやり始めてプロ野球選手の名前を覚えたりしたので、野球を始めたきっかけはパワプロでしたね。
前田さん:私も元々野球のルールは何も知らなくて、特段興味があったわけでもなかったんですけど、小学校6年生のときコロコロコミックの最初のほうにゲーム紹介のページがあって、そこによくパワプロが紹介されていてものすごくやってみたくなったんです。野球のルールはパワプロで覚えて、そこからソフトボールをやってみたりとか、友達がやってる草野球のチームに入ってみたりしたことはあったんですけど、ものすごい真剣に野球をやってた頃っていうのはないですね。
「eBASEBALL プロリーグ」2020シーズン を振り返ってみて
―今シーズンの試合に臨むにあたって2019シーズンから変えた事はありますか?
指宿さん:個人的には自分の戦い方は変えないでおこうと思いましたね。2019シーズンは6勝0敗という良い結果を残せたので、基本的に練習であったり試合前の準備などは変えないでおこうと思っていました。でも、チームメイトとのコミュニケーションは変えたほうが良かったかなという反省点はあったので、2020シーズンは積極的に話していこうと、対戦相手の分析であったり前回の試合の反省点を話し合ったりする時間は作っていました。
藤本さん:僕は2020シーズンが2年目だったので2019シーズンよりかは有利にしたいなと思ってたんですけど、東京ヤクルトスワローズからオリックス・バファローズという結構違うチームに変わったので、最初は思うようにできませんでした。なので戦術の選択肢は増やしていこうと意識して試合に臨んでいましたね。実際に試合のときもその試合に合った戦術をとれたので準備ができて良かったかなと思います。
―戦術の選択肢はどのように考えるのでしょうか?
藤本さん:基本的には野球のゲームなので、プロ野球の試合を見てるときも「こういう作戦あるなぁ」とか、「この場面でこの方向に打球打ったらいいよな」とか考えながら観てることはあるので、パワプロをプレイしていないときの経験も活きてますね。プロ野球とパワプロでは全然違うところもたくさんあるんですけど、戦術の選択肢は基本的に近いので、かなり影響は受けていると思います。
高川さん:2019シーズンは初めてのプロ入りで、いざ入った時に自分の実力が周りに届いてないなという感覚があったので、がむしゃらに行き当たりばったりで「とにかくやらなきゃ」と思っていました。でも2020シーズンは余裕ができたというか、すごいプレイをしようとか良いところを見せようとかじゃなくって、「勝つために何をしようかな」ということを考えました。相手の対策であったり自分の足りていないところを考えて、余裕をもって準備ができたかなと思います。
―高川さんは得意戦術が「ヒット性の打球をもぎ取る守備操作」と書かれていましたが、今シーズンは打撃もすごかったですよね?
高川さん:2019シーズンは打撃で見せてやりたいというのが自分の中ではあったんですけど、何分レベルが足りていなかったもので全然打てなかったんですよ。初戦も負けてしまったんですけど、その中にも後藤駿太選手を使ったファインプレーが2、3個あって「こいつファインプレーすげぇぞ」って感じの紹介映像が2戦目以降使われてたので、その印象で今シーズンのキャッチコピーになっていたと思います。
前田さん:私の場合はがむしゃらに練習してきて、その結果、練習と本番の切り替えがとても激しいという状態で2年過ごしてしまいました。なので今回3年目というときに、「今までと同じやり方ではダメだなぁ」というのがありました。でも練習をする中でもほかの選手より劣っているという感覚もなかったので、ただ練習するだけでなくメンタルに関する本を読んでみたり、生活習慣をちょっと変えてみたり、試合に至るまでのアプローチを変えて臨んだことがプラスになりました。コンディションを整えるというのはeスポーツの世界でも大事なんだなと痛感したシーズンになりました。
―具体的にはどのようにアプローチを変えたのでしょうか?
前田さん:生活の中でなんですけど、普段は仕事をしているので帰ってきてから家のことをしたりしてそのあとパワプロの練習を深夜までやって、睡眠時間を削ってでもパワプロの練習をやる生活をずっと送っていました。2020シーズンからはそういうのをなくして決まった時間に寝るようにするだとか、少し運動するようにするとか、ゲーム外での日常生活から変えていきました。1番大きかったのは試合前日まで緊張している状態だったのを、日ごろからプレッシャーを感じないようにしながらフラットに過ごしていって、試合までそのテンションで臨めたことですね。
―生活でのコンディションを整えるというのも大切なんですね
前田さん:私は現役プロプレイヤーでは最年長の34歳で、他の20代の選手と比べて体力も反射神経も多少衰えているところはありますし疲れを感じてるときはプレイが落ちるというのがあったので、そういう状態をなくそうと、とにかく睡眠をとるとかコンディションを整えることを重視しました。
―コロナ禍での開催やeクライマックスシリーズが延期した事で起きた影響は何かありましたか?
指宿さん:個人的に良かったことは、今シーズンの自分の状態が非常に良くなかったのでそこを修正する期間ができたのはとても大きかったと思います。あと、元々延期にならなければeクライマックスシリーズは事前収録になる予定だったんですけど、期間が空いて生配信になったので、やっぱりそのほうがモチベーションも上がりますし直接観てもらえるのが良い方向になったのかなと思います。悪かった点は個人的にはないですね。本当は良くないんですけど、途中で中断したのは良い準備期間になりました。
―指宿さんはほかの選手からマークされていたんじゃないかと思うのですが、影響はありましたか?
指宿さん:あ~、開幕で北海道日本ハムファイターズの木滑選手が「1年間僕を見てきて研究してきた」みたいなことを言ってて(笑)2020シーズンはそういう感じなんだな~とは思いましたけど、そういう意味でも2019シーズンから戦法を変えなかったのは反省点かなと思います。変えなかったゆえにそれにハマる部分もありますしパワプロも毎年アップデートされているので、柔軟に対応して準備していくべきだったなという反省点はありますね。
藤本さん:新しい戦術とか戦法を考えようにも1、2週間では難しいんですけど、2ヶ月もあって相手チームも決まっていたので色々なパターンの作戦を試すことができました。とくにピッチングのスタイルが変わって、ストレートの割合がかなり減って変化球が増えました。自分の作戦も変わったのでそこは良かったと思います。
今後の展望は?
―最後に、みなさまの今後の展望を教えてください。
指宿さん:やはり今回の開催はコロナ禍というところで、事前収録になったり色々変わってしまった部分はあるんですけど、やっぱりお客さんを入れて生配信で試合を観てもらうことがベストなのかなと思います。あとは、最初の2016年のトーナメントでは名前の知らない人たちと戦うという面白さもあったので、プロじゃなくても楽しめる大会であったり、逆にプロでも1発勝負のトーナメントとか挑戦の舞台があるのも楽しいんじゃないかなと思います。
―やはり事前収録ではなく生配信のほうが選手の方もテンションが上がりますか?
指宿さん:そうですね、多分どっちもいると思います。お客さんがいると緊張しちゃうから生配信じゃないほうがいい人もいると思うんですけど、やっぱり色んな人の話を聞いてると、リアルタイムで応援してもらう方が僕たちも「今から試合始まります。応援してください!」というのを発信しやすいですし、僕としては生配信のほうが嬉しいですね。生配信だと観客席もちゃんとありますし、2019シーズンまでは試合の後に実際に来てくれたお客さんと握手したり選手カードを渡してお話する機会をいただいていたんですけど、そういうときに「がんばってください」とか声をかけてもらうのがめちゃくちゃ嬉しかったので、モチベーションの向上にも繋がってたと思います。
藤本さん:eスポーツという言葉は流行っていますけど、「eBASEBALL プロリーグ」はプロ野球の球団の名前を背負わせてもらっている割にはまだまだファンが少ないのかなと思います。ビヨンドさんみたいな普通のeスポーツでは中々つかないようなスポンサーの方もいて、実際のプロ野球のオリックス・バファローズのファンだからということで応援してくれている人も結構多くいるんですけど、一方で全然興味がないとかゲームの中で球団の名前を使うことを良く思わない人もいるので、できるだけ多くのプロ野球のファンの方に観てもらいたいなと思います。
高川さん:パワプロのプレイに関しては、自分が今後どれだけ強くなれるかに興味があるので、どんどん練習していって最終的に「1番強いプレイヤーはあいつだ」と言ってもらえるようになったら良いなと思います。オフの期間も長いので、その間も注目してもらえるようにSNSだったり実況配信で発信をしていきたいです。
前田さん:僕は年齢的にかなり上のプレイヤーなので、毎年どこまでやれるのかと考えることは多いのですが、年齢がどうだからと言われるのはあまり良いと思わないんですね。どういう年齢になっても若い選手にも負けないでできるというのは、今後新しくプロリーグを目指される方のモチベーションにもなると思います。昔はただ自分が勝ちたいからという気持ちでやっていたんですけど、ここ1、2年は自分のことだけじゃなくて、あとに続く若い皆さんの道しるべとして前に立ってやることができればいいなぁと。自分もそんなことを考える年齢になったんだなぁと思うんですけど、できるだけ長く続けてあとは若い選手に任せてそれを見てニヤニヤしたいなと、そんな存在であり続けたいなと思います。
―やはり練習では体力を使いますか?
前田さん:昔だったら深夜2時まで仕事して6時に起きてまた仕事行くとか当たり前にできたんですけど、2020シーズンからは24時超えたらゲームするのもしんどいし起きてるのもしんどいです。夜遅い時間に座ってゲーム画面を眺めてるのが辛いというのはあるんですけど、それはやっぱりみなさん避けては通れない道だと思います。プロだったらそんな中でどれだけ練習ができるのか大事で、リアルなスポーツと違ってeスポーツは年齢の幅が広いと思うので、そこが面白いところなのかなと思います。
おわりに
「eスポーツに年齢は関係ない」という点に魅力を感じたと共に、通常のスポーツと同様にeスポーツにも「コンディションが大事」という点にゲームの奥深さを感じました。
プロとしてパワプロをプレイし続けるには、チームのコミュニケーションや戦術の分析が必要で、ただ強いだけでいいのではなく、「eBASEBALL プロリーグ」のファンが増えるようSNSでの発信や交流などが増えていけば、eスポーツ業界全体も盛り上がっていくのだと思います。
2020シーズンの試合は配信ベースだったため、観客の方との交流や会場の盛り上がりを現場で感じることはできませんでしたが、YouTubeでの視聴やTwitterでの交流など、選手の方もファンの方も一緒に楽しめる方法をビヨンドも一緒に探っていきたいです。
ちなみにオフシーズンにビヨンドも何かできないかとマーケティングチーム内で話し合ったところ、「オリックス・バファローズの4名とビヨンドのエンジニアがリアル野球で対戦したらどうか」という案が出ましたので、もし許可が出れば球場を借りて実践してみたいと思います(笑)
以上、オリックス・バファローズ様インタビュー第2弾でした!
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