【考察】日本はデュアルSIM・eSIM 非対応のスマートフォンが多い

最近リリースされた、iPhone16 シリーズや Samsung Galaxy や HUAWEI の折り畳みスマホなど、何かと話題に事欠かないスマートフォンですが、これだけテクノロジーが発展し、様々な機能が高性能化されていく中で、未だにチラホラ「デュアルSIM非対応」「物理SIMのみ」のような、表記を目にしたことはありませんか?

今回は、何故そのようなことが起こるのかについて、弊社の観点から見解をまとめてみます。

デュアルSIMとは

まず初めに「デュアルSIM」について解説します。

このデュアルSIMというのは、読んで字のごとく「1台で2枚のSIMカードを使えるようになる機能」です。

2021年10月以降に発売されたスマホについては、原則SIMロックが禁止されたため、近年ではデュアルSIMという単語を聞くことも増えました。これは非常に便利でユーザーにとっての選択肢が増える、便利な機能だと言えます。

eSIMとは

本ブログでも、度々触れているワードですが、QRコードでプロファイル(電話番号や契約者情報など)を読み込んで使用するSIMのことです。

○【eSIM】セットアップ方法 ~ iOS編 ~

○【eSIM】APN設定について解説 ~ iOS編 ~

○【eSIM】スマートフォンのSIMロックとその解除方法

近年では eSIM も多くの種類が存在し、IoTデバイスの製品やスマートウォッチにも使用されている革新的な技術ですが、今回の記事では、あくまで「スマートフォンで使用するための eSIM」 ということで定義します。

なぜ未だに、デュアルSIM / eSIM 非対応の機種が存在するのか

では、そんな便利な機能であるにも関わらず、「なぜデュアルSIMやeSIMが使えないスマートフォン」が存在するのでしょうか。

それはつまり「キャリアや政府が、何らかの制限をかけているのが理由」と考えています。

一括りにスマートフォンと言っても、その種類は多種多様で、特に Android のスマートフォンやタブレット端末は、様々なメーカーが独自製品をリリースされています。さらにそれらの端末がシリーズ化されているとしたら、この世に存在するスマートフォンの数は、想像がつきませんよね?

それに加え、スマートフォンのメーカーは、販売先の条件に合った製品を製造・販売しているため、例えば、「A国に販売する時の条件と、B国に販売する時の条件」が、必ずしも一致するとは限らないです。

つまり「メーカーは販売先の条件によって、全く同じ機種でも本体の設定・機能を、それぞれ分けてカスタマイズし、販売をしている場合がある」ということです。

よくあるスマートフォン端末の一例

例えば、とあるキャリア経由で購入したスマートフォン端末で、販売元の公式サイトでスペック情報を確認したとします。

日本国内でデュアルSIMにして使用したいと思っていても、キャリア側で何らかの制限が掛かっており、「そもそも設定画面に、もう一枚のSIMを追加するための画面すら出てこない」ようなケースは十分にあります。

また、日本で購入した iOS や Android のスマートフォンやタブレット端末をお持ちの方は、先述の例と比較してみると、その違いに気付けると思います。

これらのような理由と背景から、個別の要件が発生し、その要件が本体のスペックに影響しているのは明らかで、「その機能が本当に使えるのか」については、一概にメーカーが出している製品のカタログだけを見ても、分かりにくい場合があります。

下記は、国や地域ごとで販売されるスマートフォン端末の違いについてご紹介します。

ケース①:世界で流通している端末

世界的に見ても、デュアルSIMの機能に対して積極的なキャリアは比較的に少ない。(通信キャリア側が求める利益確保のため)

ケース②:中国で販売される端末

中国では eSIM 自体が規制されているので、全て物理SIMを使用し、デュアルSIMに対応している場合でも、物理SIMを2枚挿せるカードスロットが装備されている。

※ iOS や Android 系 のスマートフォン端末でも同じ

ケース③:アメリカで販売される端末

アメリカで販売されているモデルの iPhone に限定されるが、iPhone 14シリーズ以降のモデルは、全て eSIM のみの対応。したがって、物理SIM用のカードスロットが存在しない。

ケース④:通信規格(バンド・周波数帯)が違う端末

これが非常に分かりにくい落とし穴です。

国や地域ごとで販売されるスマートフォン端末の仕様が違えば、販売する通信キャリアごとでも、その国や地域で使用できる通信規格(バンド・周波数帯)も微妙に違います。

これが何を意味するかというと、通常、日本国内だけで通話・インターネットを使用する場合、生活や仕事に支障はほとんどありません。

しかし、日本国内で購入・契約したスマートフォン端末で、海外へ旅行・出張で海外現地へ渡航した場合、「そのスマートフォン端末自体が対応する通信規格」が影響し、海外現地のインターネット(ローミング)に接続できない場合があります。

例えば、日本国内で eSIM を購入し、事前にスマートフォン側のSIM設定も万全にしたはずなのに、海外現地に到着したら「ほとんどネットに繋がらない」「ネット速度が異様に遅い」という現象が起こる場合があります。これは、日本国内向けで流通している端末は「日本国内の通信規格に最適化」かつ「同じ端末でもキャリアごとに通信規格が違うため」に生じる問題です。

近年の iPhone であれば、元々がグローバルの通信規格仕様に対応したスマートフォンが大半なので、このようなケースは少ないです。しかし、Android のスマートフォンを利用している方は要注意です。

日本国内向けで流通している Android のスマートフォンは、日本のキャリアが提供する端末自体の通信規格にバラツキがある(日本メーカー・日本モデルのスマートフォンは特に多い)ので、いざ海外現地に行った際、海外現地のインターネット(ローミング)の周波数を、しっかりと掴めない可能性があります。

※ 特に「日本モデルの格安 Android のスマートフォン」は、端末自体の製造コストを抑えるため「必要最小限の通信規格にしている(日本国内で利用することを想定されている)」ため、こちらも注意が必要です。

ですので、eSIM を購入する際は「海外現地でのインターネット(ローミング)は、どこの通信キャリアが割り当てられるのか」と「自身のスマートフォン端末は、どの通信規格(バンド・周波数帯)に対応しているか」を、よく照らし合わせる必要があります。

トラブルを未然防止するために

これは基本的なことになりますが、eSIM を購入するよりも前に、まずは「その端末が eSIM の機能を使えるかどうか、事前によく確認しましょう」というのが結論となります。

これらの状況が発生する可能性は十分にあるため、もし自身で判断できない場合は、そのスマートフォンはどこで購入したのかを確認し、その「キャリア・販売元」に問い合わせるのが一番早い解決策です。

  1. そもそも端末自体がデュアルSIMやeSIMに対応していない
  2. 特定の国・地域で販売されている機種は対応していない、もしくは何らかの制限がある
  3. 対応はしているけど、購入・契約したキャリア・販売元の、スマートフォンの通信規格(バンド・周波数帯)の違いで使えない

まとめ

スマートフォンやタブレットを購入する前には、必ず「この端末はデュアルSIM 及び eSIMに対応していかどうか」必ずキャリアや販売元に確認してください。

購入した後に eSIM が使えないとなると、その影響はかなり大きいので、幸先の良いスタートを切るためにも、事前に必ず確認をおこないましょう。

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About the author

高城政紘

大学卒業後、某SIerに入社し
インフラエンジニアとしてのキャリアをスタート。
2021年の6月にビヨンドに入社し、
現在はシステムソリューション部所属。
主にWeb系のサービスを展開する企業が利用するサーバー / クラウドに対して、24時間365日の運用保守・監視サービスの提供をおこなっている。

保持資格は下記の通り
①AWS SAA
②Lpic 101